プロジェクト1

希望の架け橋
大島大橋架橋事業

橋本店 土木部
大澤宜広

希望の架け橋「大島大橋架橋事業」に携わる

私は現在(※)、2011(平成23)年度より進行する宮城県の事業「大島架橋事業」に携わっています。

この「大島架橋事業」は、気仙沼市の離島・大島と本土をつなぐ橋梁及びトンネルを含む周辺道路等を整備するもので、現在、両区間を結ぶ交通機関はフェリーだけですが、橋が完成すれば、大島の住民の方々を中心に日常生活における利便性の向上や救急医療などの安全・安心の確保、観光振興や地域間交流の促進など、数々の期待が寄せられています。

(※)2018(平成30)年5月

橋本店 土木部 大澤宜広

東日本大震災がきっかけとなり架橋構想が加速

大島の住民の皆さんがおよそ半世紀に渡り、待ち望んできた架橋。この架橋事業が本格的に始動するきっかけとなったのが2011(平成23)年に発生した東日本大震災でした。大島は島が分断されるほどの大規模な津波被害に見まわれ、本土との唯一の交通機関であるフェリーも被災、長期間の孤立を余儀なくされました。その経験から架橋の必要性が再認識され、「大島架橋事業」は復興のリーディングプロジェクトとして、いち早く着工されることとなったのです。2014(平成26)年9月、架橋本体工事が着工。橋の上部工をJFEエンジニアリング、下部工を東日本コンクリートと橋本店が施工する乙型JVで、2015(平成27)年2月より本格的に工事が始まりました。

POINT

白い優美な姿が背景の緑や水面に映える気仙沼大島大橋

地元の方々の熱意と労いの声を励みに

架橋本体工事において橋本店が施工したのは、橋を支える橋台2基と橋脚2基です。施工場所である磯草(大島側)と三ノ浜(本土側)は、ともに急勾配の斜面であったため、資材搬入に伴う仮設道路を設けることが難しかったことから斜面上部からクレーンを使って掘削し、資材も上部から搬入するなど、慎重に作業を進めました。

大島架橋は、橋長約360m、支間長約300mと東日本では最大のアーチ橋となるため、その重量を支える橋台・橋脚も相当の頑丈さが求められます。施工途中には、地元の方々を招いての見学会を段階的に行い、参加されたご高齢の方から「自分が元気なうちに早く完成させて」や「もうすぐ橋ができるからと言われ、大島に嫁いだのにもう40年経った」といった苦労話など、たくさんの労いの言葉をいただきました。

橋台と橋脚は2016(平成28)年12月までに完成。上部工の架設は2017(平成29)年3月中に5回にわたって行われ、最初に下部工とつながる側径間を架設、最後にアーチ部である中央径間を架設しました。中央径間の架設は曳航から接合まで13時間もの時間を要しましたが、私たち工事関係者のみならず、たくさんの地元の方々が緊張の面持ちで見守る姿を目にし、架橋に込められた熱い思いを改めて実感しました。

POINT

本土側から大島大橋を望む。右下は橋本店が手がけた橋脚

一日でも早く「復興のシンボル」の完成を目指す

架橋本体工事のほか、橋本店が担当した浦島1・2号トンネル、乙姫1・2・3号トンネルは2014(平成26)年9月までに全て貫通。

現在は架橋につながる道路改良工事を進めており、早期の完成を目指しています。大島での作業は、本土からの交通機関が1時間に1本運行のフェリーしかないため、重機や資材などの搬入や搬出、作業する方々のアクセスの確保などが難しい面もあります。一方で工事に対して協力的な方が多く、作業員さんの宿泊先の相談にのっていただいたり、橋本店が主催した大島での桜の植樹祭に足を運んでいただくなど、感謝とともに日々の交流が励みになっています。

「大島架橋事業」が完了するのは2018(平成30)年度の見込みで、地域の皆さんは本土と大島がつながる瞬間を今か今かと待ち望んでいます。架橋の補剛桁内部には電線や水道管なども整備されるため、ライフラインにおいても今まで以上に強固になります。私自身も、復興のシンボルであり、新しいランドマークでもあるこの事業に携われたことに大変誇りを感じています。今後も一日でも早い完成を目指し、地域の方々に喜んでもらえるよう、邁進したいと思います。

気仙沼 大島大橋 概要

気仙沼大島大橋(愛称:鶴亀大橋)橋梁諸元

橋梁形式 中路アーチ橋
橋長 約360m
支間長 約300m
桁下高さ 32m

大島大橋架橋事業 橋本店受注工区

●大島架橋工区(橋脚・橋台)
●8工区(浦島1・2号トンネル及び道路改良工事)
●9工区(乙姫1・2・3号トンネル及び道路改良工事)