シールド工法

THE SHIELD METHOD

都市の地下空間の
可能性を広げる、シールド工法

人口が密集する都市部において、地下鉄や共同溝などを築くことは、用地確保の難しさや交通渋滞など、様々な問題に直面することになります。「シールド工法」は地上での開削を行うことなく、掘削機を地中に掘進させながらトンネルを築造する工法です。地下鉄、道路、下水道、河川、電力、通信などが混在する都市部の地下は、このシールド工法の技術開発によって切り拓かれ、社会基盤を支える重要な役割を担っているのです。

「シールド工法」で、地上を開削せず、安全にトンネルを築造する

シールド工法の特長は、都市部などの地上が開発されている場所や、河川下などの地下水の多い場所においても、安全にトンネルが造れることです。シールド工法の大まかな仕組みは、シールド掘進機と呼ばれる筒状の機械で地中を掘り進みながら、掘り進めた部分が崩壊しないようにシールド機内でセグメントを組み立ててトンネルの外壁を造っていきます。

仙台市地下鉄東西線荒井トンネル工区で使用した「泥土圧気泡式シールド掘進機」

トンネル壁を築造するセグメント

シールド工法の仕組み

① 土を削り始める

カッターフェイスを回転させ、カッタービットと呼ばれる硬い金属部分で岩盤や玉石を細かく砕きながら、地盤を削っていきます。

② 土を運び出す

削られた土はカッターフェイスの開口部から入り、スクリューコンベアで後方のベルトコンベアに運ばれ、トンネルの外に出されます。

③ 前進する

掘削しながらシールド機は前進します。エレクターで組み立てたセグメントをシールドジャッキに押し付け、ジャッキが伸びることにより前に進みます。

④ トンネル壁を組み立てる

次に伸びていたシールドジャッキを戻し、再びエレクターでセグメントを組み立て、トンネル壁を造っていきます

組み立て・解体も可能な
シールド掘進機

シールド掘進機は、分割して工事現場に搬入された後、大型クレーンによって立坑下に降ろされ、再度組み立てられます。多様で複雑な地盤を持つ日本では、「泥水式」「土圧式」「泥土圧式」などの様々なシールド工法が開発されています。

最後にコンクリートを打設し、
トンネルが完成

トンネルを掘り終えたら、シールド掘進機は解体し、外に出されます。最後にトンネル内部をコンクリートで打設し、仕上げます。近年、シールド工法で造られるトンネルは、「大断面化」「長距離化」「大深度化」などの技術革新が進んでいます。

シールド工法が採用された仙台市地下鉄東西線荒井トンネル工区

2008~2013年、橋本店が携わった仙台市地下鉄東西線荒井トンネル工区では、地下水位が高く、崩壊性の高い砂質土壌であったことから泥土圧気泡式シールド掘進機が使われました。地山の崩壊や坑内での湧水などが予想されたため、模擬実験や試験施工などを行い、施工は慎重に進められました。

シールド工法と橋本店

大正時代初期に
欧米の技術を習得

シールド工法の歴史は古く、1843年、イギリス人技術者・ブルネルがロンドンのテムズ河を横断するトンネルを造る際に採用したことが始まりとされています。以後、欧米から技術を習得した日本では、1960年代以降に技術開発が進みトンネル工事の主力となりました。
大正から明治にかけ、東北地方や北海道において数々の鉄道工事を請け負っていた橋本店も、1919(大正8)年に羽越本線折渡隧道(トンネル)工事で日本最初のシールド工法を経験しています。技術面はもちろん、設備も現代とは比べものにならず、相当の難工事であったことが推察されます。